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スマホを勝手に見て得た証拠は使えるのか?

スマホを勝手に見て得た証拠は使えるのか?

2026年01月20日 15時12分

スマホを勝手に見て得た証拠は使えるのか?

配偶者の不倫を疑ったとき、思わずスマホの中身を確認してしまう人は少なくありません。LINEのやり取りや写真、位置情報から決定的な証拠が見つかることもありますが、その取得方法が問題になるケースもあります。知らずに行動すると、逆に自分が不利な立場に立たされることも。本記事では、実際のトラブル例を踏まえながら、スマホから得た証拠が慰謝料請求や交渉でどのように扱われるのかを紹介します。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な法律相談に代わるものではありません。証拠の有効性は個々の事情によって判断が異なります。実際のケースについては、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

配偶者の行動が怪しい。不倫をしているのではないか。そう思ったとき、多くの人が考えるのが「スマホを見れば証拠が見つかるはず」ということです。実際、LINEやメールのやり取り、写真、GPSの履歴など、スマホには不倫の決定的な証拠が残っている可能性が高いでしょう。

しかし、配偶者のスマホを無断で見ることは法律的に問題ないのでしょうか。そして、そこで得た証拠は、慰謝料請求や離婚の裁判で使えるのでしょうか。この記事では、スマホから得た証拠の法的な扱いと、合法的な証拠収集の方法について解説していきます。

配偶者のスマホを見ることは違法なのか

プライバシー侵害の可能性

スマートフォンには、個人の非常にプライベートな情報が詰まっています。たとえ夫婦であっても、お互いにプライバシーは存在すると考えられており、無断でスマホを見る行為は、プライバシー侵害に該当する可能性があります。特に、パスワードやロックを解除して中身を見た場合、その侵害の程度は大きいと評価されることがあるようです。

ただし、夫婦という特別な関係性を考慮すれば、ある程度のプライバシーの共有は認められるという考え方もあります。つまり、夫婦間では、一般の他人同士に比べて、プライバシーの保護の程度が弱くなる可能性があります。結婚生活を送る上で、お互いのスケジュールや連絡先を把握することは自然なことであり、その延長として、ある程度の情報アクセスは許容されるという見方です。

不正アクセス禁止法との関係

不正アクセス禁止法は、他人のIDやパスワードを無断で使用してコンピュータにアクセスすることを禁じています。配偶者のスマホのロックを解除して中を見る行為が、この法律に違反するかどうかは、微妙な問題です。

一般的には、夫婦間でのスマホの閲覧が直ちに不正アクセス禁止法違反となるわけではないと考えられるケースもあります。もっとも、同法は主に第三者による不正なアクセスを想定しているものの、夫婦間であっても、ロック解除の方法や閲覧の態様、アカウントへの無断ログインの有無等によっては、不正アクセス禁止法違反に該当する可能性があります。

そのため、家族間であることのみを理由に、一律に問題にならないと考えることはできず、具体的な事情に応じてケースバイケースで判断されることになります。

違法に取得した証拠でも使えるのか

民事訴訟では使える可能性が高い

重要なポイントとして、刑事裁判と民事訴訟では、証拠の扱いが大きく異なります。
刑事裁判では、令状主義の精神を没却するような重大な違法な方法で収集された証拠については、原則として排除されるとされています。これは、国家権力による違法な証拠収集を防ぐための原則です。

しかし、民事訴訟、つまり離婚や慰謝料請求の裁判では、この原則は必ずしも厳格に適用されません。証拠の収集方法に一定の問題があったとしても、その証拠が事実関係を明らかにする上で重要である場合には、採用される余地があると考えられています。

実務上、配偶者のスマホを無断で閲覧して得たLINEのやり取りや写真などが、不倫の証拠として裁判所に提出されている例も見られます。

ただし、リスクがないわけではない

ただし、スマホを無断で見ることが全くリスクがないわけではありません。社会通念上著しく相当性を欠く方法で証拠を得た場合、裁判所がその証拠を採用しない可能性もゼロではありません。また、その場合、逆に配偶者からプライバシー侵害で訴えられるリスクもあります。

さらに、スマホを勝手に見たことが配偶者にバレると、夫婦関係がさらに悪化し、関係修復が困難になる可能性があります。離婚を前提としているならまだしも、まだ迷っている段階で相手の信頼を完全に失うことは、慎重に考えるべきでしょう。

より安全な証拠収集の方法

自然に見える状況での確認

配偶者がスマホを開いたままテーブルに置いていた、画面が点灯していて偶然メッセージが見えた、というような状況であれば、「偶然見てしまった」という主張ができます。このような場合、プライバシー侵害の程度は低いと評価される可能性があります。

ただし、「偶然」を装って意図的に見る、というのは、後でバレたときに信用を失うリスクがあります。倫理的にも問題がある行為ですので、慎重に判断すべきでしょう。

スクリーンショットの保存

もしスマホを見る機会があった場合、重要な証拠はスクリーンショットで保存しておくことが有効です。ただし、相手のスマホで撮影したスクリーンショットを自分のスマホに送信する、といった行為は、さらにプライバシー侵害がより重大なものと評価される可能性があることになるので注意が必要です。

自分のスマホで相手のスマホの画面を撮影する、という方法もありますが、これも無断で見ていることに変わりはありません。証拠としての価値と、法的・倫理的なリスクを天秤にかけて判断する必要があります。

探偵への依頼

最も安全で確実な方法は、プロの探偵に調査を依頼することです。探偵は、法律の範囲内で尾行や張り込みを行い、不倫の証拠を収集してくれます。ホテルへの出入りの写真や動画など、裁判所が確実に認める証拠を得ることができます。

費用は数十万円以上かかることもありますが、確実性と安全性を考えれば、検討する価値はあるでしょう。特に、慰謝料請求を考えている場合、確実な証拠があるかどうかで結果や戦略が大きく変わります。

共有アカウントの確認

夫婦で共有しているクラウドサービスやアプリがある場合、そこから情報を得ることは比較的リスクが低いと言えます。例えば、家族で共有しているGoogleフォトやiCloudに、不倫を示す写真がアップロードされていた、という場合、これは「共有情報を見ただけ」という主張ができます。

ただし、共有設定になっていることを確認する必要があります。相手が個人的に使っているアカウントに無断でアクセスすれば、それは明確なプライバシー侵害になります。

証拠収集で絶対にやってはいけないこと

証拠を集める際に、絶対に避けるべき行為もあります。

スパイアプリのインストール

配偶者のスマホに、無断で監視アプリやスパイアプリをインストールする行為は、明確に違法です。不正指令電磁的記録供用罪(いわゆるウイルス罪)に該当する可能性があり、刑事罰の対象になることもあります。

また、このような方法で得た証拠は、たとえ民事訴訟であっても、証拠収集の方法が社会通念上著しく相当性を欠くと評価されるため、証拠として採用されない可能性が高くなります。絶対に行わないでください。

スマホの持ち出しや隠匿

配偶者のスマホを勝手に持ち出して、長時間調べる、あるいは隠してしまう、という行為も避けるべきです。これは窃盗罪や器物損壊罪に問われる可能性があります。

また、配偶者がスマホを探している間に証拠を消されるのを防ぐため、という理由で隠すこともありますが、これは逆効果です。違法行為を重ねることで、自分の立場が不利になります。

データの改ざんや捏造

当然のことですが、証拠を改ざんしたり、捏造したりすることは絶対にしてはいけません。LINEのメッセージを編集して不倫しているように見せかける、写真を加工する、などの行為は、発覚すれば信用を完全に失います。

裁判では、証拠の真正性が厳しくチェックされます。改ざんが発覚すれば、他の証拠の信憑性まで疑われ、最悪の場合、自分が不利な立場に立たされる可能性があります。

まとめ:証拠の重要性とリスクのバランス

配偶者のスマホを無断で見て得た証拠は、民事訴訟では使える可能性が高いものの、全くリスクがないわけではありません。プライバシー侵害として問題視される可能性、配偶者との関係がさらに悪化する可能性、倫理的な問題など、様々な要素を考慮する必要があります。

重要なのは、証拠収集の方法と目的を明確にすることです。関係修復を望むのか、離婚を前提に証拠を集めるのか、慰謝料請求をするのか。目的によって、取るべき行動は変わってきます。

また、一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。専門家であれば、合法的かつ効果的な証拠収集の方法をアドバイスしてくれます。自己判断で行動して、後で問題になることを避けるためにも、専門家の意見を聞くことは非常に重要です。

不倫の証拠を集めることは、感情的にも法律的にも難しい問題です。しかし、正しい知識と適切なサポートがあれば、自分の権利を守りながら、最善の解決策を見つけることができるはずです。

弁護士 大西信幸 弁護士 大西信幸 ラポール綜合法律事務所 ラポール綜合法律事務所