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「パパ活」「シュガーデート」の法的トラップ ー不貞関係との微妙な境界線ー

「パパ活」「シュガーデート」の法的トラップ ー不貞関係との微妙な境界線ー

「パパ活」「シュガーデート」の法的トラップ    ー不貞関係との微妙な境界線ー

パパ活やシュガーデートは「恋愛感情がないから大丈夫」と考えられがちですが、相手が既婚者である場合、関係の内容次第では不貞行為と判断される可能性があります。金銭のやり取りがあっても法的リスクが消えるわけではなく、慰謝料請求やトラブルに発展するケースも少なくありません。この記事では、実例や裁判の考え方を踏まえながら、パパ活・シュガーデートと不貞行為の微妙な境界線を掘り下げていきます。

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近年、マッチングアプリや SNS を通じて、いわゆる「パパ活」や「シュガーデート」と呼ばれる関係が広がっています。食事やデートの対価として金銭を受け取る、一見すると単なる大人の付き合いのように見えるこの関係ですが、実は法的に非常にグレーな領域に位置しています。

特に、相手が既婚者だった場合、思いもよらない形で慰謝料請求のトラブルに巻き込まれる可能性があります。

この記事では、パパ活やシュガーデートが法的にどのような問題を孕んでいるのか、実際の判例を踏まえながら解説していきます。

パパ活・シュガーデートとは何か

まず、パパ活やシュガーデートがどのような関係を指すのか整理しておきましょう。

パパ活は、主に若い女性が年上の男性(パパ)と食事やデートをし、その対価として金銭や贈り物を受け取る関係を指します。

シュガーデートも基本的には同じ構造で、経済的に余裕のある人(シュガーダディ/シュガーマミー)が、若い相手(シュガーベビー)に経済的支援を行う代わりに、デートや交際を楽しむという関係です。

「健全な関係」という認識の落とし穴

多くの人が「食事をするだけ」「デートするだけ」だから問題ないと考えているようです。実際、マッチングアプリのプロフィールには「大人の関係なし」「食事のみ」といった記載が並んでいます。

しかし、法律の世界では、当事者がどう認識しているかではなく、実際にどのような関係があったのかが重視されます。たとえ当初は「食事だけ」のつもりであっても、関係が発展してしまった場合、後から「あれは単なるパパ活だった」という主張は通りにくいケースが多いのです。

金銭授受の記録が残る現代の特徴

従来の不倫と大きく異なるのは、金銭のやり取りがデジタルで記録されている点です。銀行振込、PayPay、LINEPay など、現金以外の方法で金銭を受け取っていれば、そのすべてが証拠として残ります。

「○月○日 デート代 5万円」といったメモ付きの送金記録があれば、それは二人の関係を示す有力な証拠になり得ます。

法律上の「不貞行為」とは

ここで重要になるのが、民法における「不貞行為」の定義です。

不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つことを指します。つまり、法的に問題となるのは肉体関係の有無であり、食事やデートだけでは原則として不貞行為には該当しないと考えられています。

「原則として」の意味するところ

ただし、「原則として」という言葉には注意が必要です。実際の裁判では、肉体関係がなくても、その関係が配偶者の権利を侵害していると判断されるケースがあります。

たとえば、頻繁に会っている、深夜まで二人きりで過ごしている、ホテルに行った形跡がある、といった状況証拠が積み重なると、肉体関係があったと推認される可能性があります。

推認とは何か

推認とは、直接的な証拠はないものの、様々な間接的な証拠から「おそらくこうだろう」と推測して判断することです。

ラブホテルへの出入りの写真があれば、中で何があったかの直接的な証拠がなくても、肉体関係があったと推認されるのが一般的です。同様に、深夜に相手の自宅に頻繁に出入りしている記録や、旅行に一緒に行った証拠などがあれば、不貞行為があったと判断される可能性が高まります。

パパ活をめぐるトラブルと法的リスクの実例

パパ活やシュガーデートが法的トラブルに発展するケースについて、よく見られる相談事例をもとに考えてみましょう。以下は実際の裁判例ではなく、弁護士への相談でよく見られるパターンを匿名化・簡略化したものです。

事例 1:ラブホテルへの出入りが記録されていたケース

ある女性は、既婚男性と月に数回会い、1回あたり数万円を受け取っていました。女性は「食事やカラオケに行っただけで、肉体関係はない」と主張したようです。

しかし、探偵によってラブホテルへの出入りが複数回撮影されており、さらにLINEのやり取りには性的な内容を連想させるメッセージが残っていたといいます。

このような状況では、裁判所が肉体関係の存在を推認する可能性が高く、慰謝料請求が認められる傾向にあるようです。

事例 2:「パパ活だから問題ない」という認識の誤り

別の相談では、女性側が「これはパパ活という経済的な関係であり、恋愛ではない」と考えていたケースがありました。

しかし、法律上は恋愛感情の有無は不貞行為の成立要件ではありません。配偶者以外の者と自由な意思に基づいて肉体関係を持てば、それが金銭を伴う関係であっても、不貞行為に該当すると考えられています。

「パパ活だから」という理由で免責されるわけではないという点は、認識しておく必要があるでしょう。

事例 3:「知らなかった」の主張が難しいケース

相手が既婚者だと知らなかったという主張は、状況によっては認められる可能性があります。ただし、以下のような事情がある場合、「知らなかったことに過失がある」と判断されるリスクが高まります。

  • 相手の年齢から考えて既婚の可能性が高い

  • 結婚指輪の跡がある

  • 休日や夜間しか会えない

  • 相手の自宅に行ったことがない

  • 家族の話を一切しない

このような兆候が複数ある場合、「普通の注意を払えば既婚者だと気づけたはず」と評価され、慰謝料の減額はあっても、支払義務自体は認められる可能性があります。

慰謝料請求される側の言い分とリスク

パパ活やシュガーデートをしている側からすれば、「お互いの合意の上でのことだし、恋愛でもないのに何が悪いのか」と感じるかもしれません。しかし、法律は配偶者の権利を保護するために存在しています。

「お金をもらっているだけ」という認識の危険性

多くの人が、金銭を受け取っているという事実を免罪符のように考えています。

「これは仕事の一環」「単なる経済的な取引」という認識です。

しかし、法律の観点からは、金銭の授受があったからといって不貞行為でなくなるわけではありません。むしろ、金銭の記録が残っていることで、二人の関係の証拠として使われるリスクがあります。

慰謝料の相場と支払能力

パパ活やシュガーデートに関連する不貞行為の慰謝料は、一般的な不倫のケースと同様、100万円から300万円程度になることが多いようです。

ただし、関係の期間、頻度、相手の婚姻関係への影響などによって金額は変動します。

若い女性の場合、そのような高額な支払い能力がないケースも多く、人生の大きな負担になる可能性があります。親に知られる、就職先に影響が出る、といった二次的な被害も考えられます。

弁護士費用と裁判の負担

慰謝料そのものだけでなく、もし裁判になった場合の弁護士費用も無視できません。着手金、成功報酬を合わせれば、数十万円から場合によっては100万円近くかかることもあります。

さらに、裁判は精神的にも大きな負担になります。何度も裁判所に足を運び、自分のプライベートな関係について詳しく説明しなければならないのです。

法的リスクを避けるための現実的な対策

では、パパ活やシュガーデートを考えている人、あるいはすでに関係を持っている人は、どのような点に注意すべきでしょうか。

最も確実な方法:相手の婚姻状況の確認

当たり前のことですが、相手が独身であることを確認することが最も重要です。

ただし、口頭での確認だけでは不十分かもしれません。

マッチングアプリのプロフィールに「独身」と書かれていても、それが虚偽である可能性もあります。相手の住所、勤務先、SNSアカウントなどから、ある程度の裏付けを取ることも検討に値するでしょう。

ただし、これらの確認行為自体がプライバシーの侵害になる可能性もあるため、バランスが難しいところです。

関係の内容を明確にする

もし本当に食事やデートだけの関係に留めるつもりなら、それを明確にしておくことが重要です。とはいえ、書面で「肉体関係を持たない」という契約を結ぶわけにもいかないでしょう。現実的には、ホテルに行かない、深夜まで二人きりで過ごさない、相手の自宅に行かないなど、誤解を招くような状況を作らないことが大切です。

証拠となるメッセージに注意

LINEやメールでのやり取りは、後々証拠として提出される可能性があります。「今日も気持ちよかったね」「また抱きしめたい」といった性的な内容を連想させるメッセージは避けるべきです。

また、金銭の授受について「今日のお礼」「いつもありがとう」といった曖昧な表現も、関係の親密さを示す証拠になり得ます。とはいえ、あまりにもビジネスライクなメッセージばかりでは関係自体が成り立たないというジレンマもあります。

すでに関係がある場合の対処

もしすでに既婚者とパパ活やシュガーデートの関係にあり、不安を感じているなら、早めに関係を終わらせることが最も賢明です。

関係が長く続けば続くほど、万が一慰謝料請求された場合の金額も高くなる傾向があります。また、相手の配偶者に関係がバレるリスクも時間とともに高まります。

グレーゾーンをどう考えるか

パパ活やシュガーデートは、法律的にはっきりと白黒つけられる領域ではありません。肉体関係がなければ法的には問題ないという原則論はありますが、実際の裁判では様々な状況証拠から総合的に判断されます。

自己判断のリスク

「自分のケースは大丈夫」と自己判断することの危険性を認識しておく必要があります。

法律の専門家でも判断が分かれるようなケースは多く、一般の人が正確にリスクを評価するのは難しいものです。特に、相手から「大丈夫だよ」「バレることはないから」と言われても、それを鵜呑みにするのは危険です。

もし問題が起きた時、責任を取るのは自分自身だからです。

社会的な認識との乖離

SNSやメディアでは、パパ活が軽いノリで語られることも多く、「みんなやっている」という空気感があるかもしれません。

しかし、法的なリスクは社会的な認識とは別に存在します。多くの人がしているからといって、それが法的に問題ないということにはなりません。

変化する法解釈

法律そのものは変わっていなくても、時代とともに裁判所の判断基準が変化することもあります。パパ活やシュガーデートという言葉が広がり、それに関連する裁判例が増えてくれば、今後さらに厳しい判断が下される可能性もあります。

逆に、より柔軟な判断がされるようになる可能性もゼロではありませんが、現状では厳しい方向に進んでいるように見受けられます。

まとめ:リスクを正しく理解する

パパ活やシュガーデートは、一見すると気軽な大人の関係のように思えるかもしれません。しかし、相手が既婚者だった場合、法的に非常に危険な領域に足を踏み入れることになります。

「食事だけ」「デートだけ」という認識が、必ずしも法的な判断で認められるわけではありません。状況証拠から肉体関係があったと推認されれば、高額な慰謝料を支払う義務が生じる可能性があります。

金銭を受け取っているという事実も、免罪符にはなりません。むしろ、関係の証拠として使われるリスクがあります。

最も安全な方法は、既婚者との関係を避けることです。

もしすでに関係がある場合は、早めに終わらせることを検討すべきでしょう。法的なリスクだけでなく、精神的な負担、社会的な影響なども含めて、総合的に判断することが大切です。

この記事が、パパ活やシュガーデートに関わる法的リスクを理解する一助となれば幸いです。安易な判断で人生に大きな影響を及ぼす問題に巻き込まれないよう、慎重に行動することをお勧めします。

弁護士 大西信幸 弁護士 大西信幸 ラポール綜合法律事務所 ラポール綜合法律事務所